定年楽農のブログ

定年帰農して二十数年の顛末

小説定年楽農47

ichirou
体力の衰え
 5月16日、一郎は66歳の誕生日を迎えた。
 当初は、当面の10年間を目標に、ビジネス感覚を導入して「都市近郊における露地野菜栽培の経営確立」をめざし、頑張るつもりでしたが、思うように収益が上がらないまま、就農からもう11年が過ぎようとしている。
 その原因は、病虫害に対する対策にてこずっている。
 まず、症状から病名、害虫名がわからない。小規模農家では、営農指導を受けづらく、図鑑で調べるなど苦労する。
 病名や害虫名さえわかれば、ネットで対策はわかるのだが。
 最近では、当初の目標の収益を上げることの一本やりから、地域における居心地の良さ、例えば、お客さんから「おいしい野菜をありがとう」などと言われた比には喜びを禁じえないなど、農業という生業の概念からもう少し広がった「地域での居心地のよさ」に変化してきて、いつのまにか趣くままの農的生活となってしまい、当初の目標からは変化してきてしまっている。
 また、一郎は、65歳あたりから、頭のハゲ、顔のシワ、シミの進行、白内障、歯槽膿漏、逆流性食道炎、高血圧症、鼠径ヘルニア、腰痛など、身体にガタがきて、少々体力に限界を感じていて、高齢なりの農作業の工夫が必要になってきたと感じるようになった。
 年末には、黄斑上膜と白内障の手術のため、10日間入院をし、12月4日に退院しまた。
 視力の回復には、1〜3か月かかり、メガネの調整はそれ以降とのこと。
 当分の間、畑に行くのに、かみさんに送迎を頼んでいる。
 また一つ、頭が上がらないことができてしまった。